排水管洗浄とは
排水管洗浄とは、高圧水等を配管内に噴射して排水管内に付着した汚れや堆積物を洗浄・除去する作業です。排水設備は排水管内を定期的に実施しないと汚れ(スライム・スケールと一般的に言われます)が管内に付着していき、徐々に閉塞していきます。閉塞状態が進んでいくと、必然的に排水の流れが悪くなり、排水トラップ部分でゴボゴボと音がしたり、トラップの封水がきれて臭気が漏れ出るなどの現象を引き起こします。完全に閉塞状態となった場合は溢水事故等の重大事故を起こすこともあります。また、管内の付着物により、管材によっては管が腐食等の劣化を引き起こし、漏水の発生原因となります。定期的に排水管洗浄を実施することで、正常な排水機能を維持することができます。また、排水管内の付着物による排水管自体の劣化を防ぐことで、排水管の延命化を計ることができます。
洗浄時に排水管内をカメラ等の診断機器で確認し状態を把握しておくことで排水設備の良好な維持管理を行うことができます。
排水設備のしくみ
排水設備とは、建物や土地にたまった水を外部に支障なく衛生的に排出するための設備です。建物で使用された水は各器具排水口から排水配管を通して公共下水道(もしくは浄化槽など)に流されます。
建物から出される排水の種類としては汚水(し尿を含んだ排水)と雑排水(生活に伴う排水。厨房・洗濯・洗面・風呂等)と雨水(自然現象に伴い屋上・バルコニー・敷地に溜まる水)に分けられます。
汚水と雑排水は自然落下(重力式)により、器具・トラップ・排水横枝管・排水立て管・排水横主管を経由し屋外の敷地排水管から下水道に放流されます。
雨水はルーフドレン・雨水立て管(雨樋)・雨水横主管を経由して屋外に排出されます。
集合住宅(マンション・アパート)の排水管洗浄の重要性
マンションなどの集合住宅では維持管理業務の項目のひとつとして雑排水管洗浄を定期的に実施することが一般的に行われています。対象としては雑排水系統(台所・浴室・洗濯・洗面)を洗浄します。
集合住宅では衛生器具から公共下水道までの排水配管の距離が長く、ひとたび排水設備に問題が生じてしまうと給排水設備が使用できない、建物に居住することができなくなるなど非常に大きな問題となってしまうことから、維持保全の観点から定期的に必ず実施する傾向にあります。
洗浄を実施する範囲としては、専有部内各衛生器具トラップ・専有部横枝管・共用立て管・共用横主管・敷地排水管となります。
汚水系統・雨水系統については比較的管に汚れが付きにくいため、洗浄を実施する周期は雑排水よりは長めにする、もしくは不具合が生じ始めてから実施する傾向にあります。
また、近年では新しい設備機器として台所にディスポーザを標準装備するマンションが増加しています。ディスポーザ系統は単独配管となっており、ディスポーザ専用横枝管・ディスポーザ専用立て管~専用処理槽・敷地排水管までの配管が洗浄範囲となります。ディスポーザ系統の配管は粉砕した生ごみを水流によって配管内を経由して処理槽まで搬送するため、配管内に汚れが付きやすい傾向にあります。